真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「しかも死体を隠してた」

「そう。死体をわざわざ運んで」



息吹ちゃんがまた黙った。

そして、しばらくして。



「……手が込んでる」
と、呟いた。



「どういう意味?」

「この犯人だけ、妙に手が込んでない?時田さんも橋谷先生も、突き落とされた後はそのまま放置されている」

「そうだ。しかも時田さんに至っては、確実に殺そうとは思っていない」

「うん。草むらに突き落としただけ。……もしも時田さん落下事件に犯人が存在するとして、殺意が他に比べて薄い」



息吹ちゃんは「ふぅっ」と息を吐いて、
「竹中先輩って、恨まれてたのかな?」
と、私を見た。



「……殺意が強いから?」

「うん。何としても殺すって感じがする。首を絞めただけではなくて、お腹や腰に刺し傷があったんでしょう?」

「……殺人の本命は、竹中先輩?」



息吹ちゃんは頷く。

そんな息吹ちゃんに、
「でもさ」
と、私は続ける。

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