真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「でも、竹中先輩が殺人の本命っていうとさ、時田さんや橋谷先生が……言葉は悪いけれど、おまけで殺されたっていうの?別々の犯人かもしれないのに、おかしくない?」
「彩葉ちゃんの言うように、多分、犯人は別々だと思う。……竹中先輩殺人事件と時田さん落下事件は」
「えっ?」
息吹ちゃんは視線をメモ帳に落として、
「こんなこと言うの、すっごく嫌だけどさ」
と前置きをして、つらそうに、こう言った。
「時田さん落下事件に、加瀬さんは関わっている」
「……っ!!」
私は驚きのあまり、目の前がチカチカしてくる。
今まで、加瀬さんの無実を証明したくて、私達は調査していたはずなのに。
(誰よりも、息吹ちゃんが信じたいはずなのに)
「あの日、時田さんは加瀬さんを呼び出していた。北校舎の多目的室に」
「うん。でも加瀬さんは行かなかったって、近づかなかったって、言ってたよ」
「……多分、行ったんだよ。加瀬さん、時田さんのところへ行ってると思う」