真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「……あのさぁ、どこの誰に頼まれたのかはわからないけどさ、今すぐ事件のことを調べるの、やめてくれよ」
「なぜですか?」
と、息吹ちゃんが聞いた。
「調べられて困ることがあるんですか?私達が調べなくても、警察は動いている。多分もう、警察は全部わかっているんじゃないでしょうか?」
「……」
滝口くんは黙った。
それから、
「調べられて困るのは、あんたらだろ」
と、呟いた。
「え?」
私と息吹ちゃんの声が被る。
「しらばっくれんなよ。知ってるんだからな。あんたらが、加瀬 有沙の席にあんなひどいことを書いたんだって」
「……はい?」
今度は息吹ちゃんの声がひっくり返る。
「そんなこと、してない」
と、私も言う。
声は震えてなかったけれど、驚きすぎて、裏返った。
「……えっ、あんたら以外に誰が書くっていうんだよ」
「逆になぜ、私達が書いたと思うんですか?」
息吹ちゃんの問いかけに、滝口くんは目を丸くしている。