真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
息吹ちゃんの言葉に私も何度も頷く。
「……三組の人だよ。市川って人」
「!!」
市川 櫻子さんが?
「なんでそんな嘘を吐くんだろう?」
「それは私達が邪魔だからだよ、彩葉ちゃん」
滝口くんが私達をまっすぐ見て、
「あんたらじゃないなら、あの落書きは一体誰なんだ?」
と、聞いてきた。
「多分、市川さん自身じゃないですか?」
息吹ちゃんが静かに答える。
「えっ」
と、滝口くん。
「滝口くんにお聞きしたいんです。時田さん落下事件の日、あなたは朝早くに学校に来ていますよね?」
滝口くんの表情がまた、険しくなる。
「朝早くに学校に来ていたはずなのに、ずっとあなたがどんな行動を取っていたのか、わからないんです」
「……」
「滝口くん、あなたは……」
息吹ちゃんが慎重に言葉を選ぼうとしているのがわかった。
「……犯人といたんですよね?」