真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「……限界かぁ」
と、滝口くんは呟く。



「加瀬さん、今、警察ですか?」



息吹ちゃんの言葉に、私は驚きを隠せない。



「えっ!?そ、そうなの!?」

「彩葉ちゃん、私達は遅かったんだよ。間に合わなかったの」



(そんな……っ!)



滝口くんは観念したように、
「そうだよ」
と、言った。



「そうだよ、有沙は今、警察の人に話を聞かれている。多分、話していると思う。真実を」

「真実?」



私だけが会話についていけない。



「あの日、時田は有沙を呼び出してた。北校舎の、多目的室に朝早く来いって」



滝口くんは顔を上げた。



「多目的室で何してたと思う?有沙をおとしめる動画を撮ろうとしてたんだ、時田は」



「最低なクズだよ」と、滝口くん。



「……有沙は呼び出されたことを、前日にメッセージで知らせてくれた。嫌な予感がするって言っていたから、俺は勝手に助けるつもりになって、多目的室に乗り込んでしまった」


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