真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

滝口くんは私達を見る。



「大きな音だったから、人が落ちたってわかった。有沙かもしれないって思った」

「……」

「俺、あの時、屋上に時田がいたら……、俺が時田を突き落としてやるんだって思った」

「だから、裏庭じゃなくて屋上に行ったんですね?」
と、息吹ちゃん。



滝口くんは頷いて、
「屋上まで行くと、時田の姿はなかった。代わりに、有沙がいた」
と、言った。



息吹ちゃんは頷く。



「有沙は震えてた。『どうしよう』って泣いてた。俺は有沙を屋上から連れ出して、多目的室で有沙を落ち着かせようとした」



(そうだったんだ……)




「でもその時、さっき言ってた三組の市川って人に見つかった」



「えっ!?」



思いがけないところで、市川さんの名前が出て、私は驚く。




「でも見られただけで、何も言ってこなかった。それ以降も、何も……。でも、有沙のアリバイをあんたらが聞いてきた時に助けられたって、有沙が言ってた」

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