真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「嘘の証言だったのは、なんとなくその時に気づいていました」
と、息吹ちゃん。
「でも、嘘がどこまでで、本当はどうなのか、私達にはわからなかった」
滝口くんは力なく笑う。
「俺も多分、これから警察に呼ばれる。ちゃんと本当のことを言うよ」
滝口くんは席を立って、
「気をつけたほうがいいと思う。あの市川って人、あんたらのことを良く思ってない」
と、声を落とした。
滝口くんが去って。
私と息吹ちゃんもカフェを出た。
トボトボと歩く。
「彩葉ちゃん」
と、息吹ちゃんの足が止まる。
「何のために、市川さんは加瀬さんのアリバイを証言したと思う?」
私は考えてみる。
市川さんにとって利益になることだから、きっと嘘をついてまで証言したんだとは思う。
でも、利益って?
「私、市川さんが犯人だと思う」
と、息吹ちゃんが呟く。
「でも、そしたら竹中先輩を殺すことが難しいんじゃないの?」
「そう。男性の力が必要だと思う」
「そこが矛盾するんだよな」と、息吹ちゃんは頭を抱える。