真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「……いいんです」
と、息吹ちゃんが俯く。



「私達は、結果的に何も出来なかったから。利用もされていませんし、吉井さんが謝るようなことは何も……」

「ありがとう」
と言った吉井さんに、寧々様が質問した。



「加瀬さんが事件に関わりがあるって、何をどこまで知っていたの?」



吉井さんは「詳しくは知らなかったけど」と前置きをして、
「事件が起こって休校になった日に、加瀬ちゃんの様子がおかしいって思った。時田さんのグループの人に責められている時の加瀬ちゃんの泣き方が、なんか……、いつもと違うって思った」
と、話した。



「泣き方?」



寧々様はよくわからないという顔をしている。



「そう。加瀬ちゃんは泣き虫だけど、でも、人前であんなふうに泣かないことを、私は知っているから。だから、加瀬ちゃんが時田さんの事件に関わりがあるんだって、直感だったけどわかったの」

「友達だから、わかるんですね」
と、息吹ちゃん。

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