真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「……友達って、もう思ってもらえていないと思うけどね」
と、吉井さんは目を伏せる。



私達が黙っていると、吉井さんはこう言った。



「私、滝口くんのこと、実はちょっと好きだったの。加瀬ちゃんが付き合っていることなんて知らなかったんだ。時田さんがいじめて、その時初めて加瀬ちゃんと滝口くんのことを知った」

「……」

「私、裏切られた気持ちになったの。教えてもらえなかったことも、加瀬ちゃんが付き合っていることで失恋したことも、本当は許せなかった」



吉井さんの目がまた潤む。



「だからいじめの火の粉がかからないように逃げた時、あんまり申し訳ない気持ちはなかった。……最低だよね、私」

「……」



「でも、いじめがひどくなっていく毎日で、私は後悔した。毎日、勇気が出なくて助けようとしない自分に、嫌気もさした」

「私も」
と、息吹ちゃんが言う。



「私も同じクラスメートとして、何もしなかった自分に腹が立ちます」

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