真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

市川さんは。

私達が調査していることを、よく思っていない。

妨害しようともしてきた。



(何のために?)



……知られたくないんだ。

自分が事件に関わっているから。

本当のことを。

伏せておきたいんだ。




「あのぉ……」
と、部室の扉が開いた。



振り返ると美術部の部長の、門倉 絵美里さんが立っていた。



「あ、門倉先輩」
と、私と息吹ちゃんは頭を下げた。



「私のことを覚えてくれてた?ごめんなさい、突然押しかけて」



門倉さんは、
「ちょっと情報を提供したくて」
と、小さな声で言う。



「情報?」
と、息吹ちゃんが前のめりになって尋ねる。






門倉さんに部室のソファーを勧める。

遠慮がちにソファーに座った門倉さんは、
「文芸部って、すごい物を部室に置いてるんだね」
と、主に寧々様が持ち込んだお茶のセットを見ている。



「あの、情報って?」
と、息吹ちゃんが聞く。

< 157 / 195 >

この作品をシェア

pagetop