真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
市川さんは。
私達が調査していることを、よく思っていない。
妨害しようともしてきた。
(何のために?)
……知られたくないんだ。
自分が事件に関わっているから。
本当のことを。
伏せておきたいんだ。
「あのぉ……」
と、部室の扉が開いた。
振り返ると美術部の部長の、門倉 絵美里さんが立っていた。
「あ、門倉先輩」
と、私と息吹ちゃんは頭を下げた。
「私のことを覚えてくれてた?ごめんなさい、突然押しかけて」
門倉さんは、
「ちょっと情報を提供したくて」
と、小さな声で言う。
「情報?」
と、息吹ちゃんが前のめりになって尋ねる。
門倉さんに部室のソファーを勧める。
遠慮がちにソファーに座った門倉さんは、
「文芸部って、すごい物を部室に置いてるんだね」
と、主に寧々様が持ち込んだお茶のセットを見ている。
「あの、情報って?」
と、息吹ちゃんが聞く。