真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

滅多なことは言わない方がいいよ、と言いかけてやめた。

息吹ちゃんが真剣な目をしていたから。






「だからって加瀬さんが犯人だとは断定できないけどね。犯人は他にいるかもだし、時田さんの自殺かもしれないし」

「どうして自殺か他殺だと思うの?」

「だってさ……」
と言いかけた息吹ちゃんが、黙る。



誰かがこっちに向かって、走って来たから。



(あれ、この人って息吹ちゃんと同じクラスの人……)



「あのさ!柴田さん、お願いがあるんだけど!」



肩を上下させて、その人は息吹ちゃんを真っ直ぐに見つめた。













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