真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「でも」と、門倉さんは言う。
「でも、あの日。美術室に課題のプリントを忘れたって気づいて、私、取りに行ったの。そしたら……」
「……市川さんがいたんですね?」
と、息吹ちゃん。
「美術室にいたどころじゃない。市川さん、キスしてた。橋谷先生と」
私達は何も言えなかった。
門倉さんは続ける。
「抱きしめて、キスしてるふたりを見て、私、気持ち悪いって思ったの」
「……それで、橋谷先生と市川さんの不倫関係を知ったんですね」
寧々様の眉間にもシワが寄っている。
「……殺されてた竹中くん、知ってるよね?」
と、門倉さん。
「竹中くんは、市川さんのことが好きだったの」
(ゆみちゃんが言っていた話だ)
「竹中先輩は、知らないんですよね?橋谷先生と市川さんの関係」
と私が言うと、門倉さんは不思議そうな表情で、
「えっ、なんでそう思うの?」
と、言った。