真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「えっ、だって、市川さんとこれから付き合うんだって自慢しているって話を聞いたから」
と、私はもにょもにょと答える。



「知らないはずない。美術部員はみんな知っていると思うよ」
と、門倉さん。



「たまに部活中にも来てたから。市川さん。先生にべったりくっついて」



(……じゃあ、なんで、竹中先輩は……?)



門倉さんは、
「でも情報って、そのこととは少し違うの」
と、言った。



「えっ?」
と、私達は目を丸くする。



「市川さん、竹中くんに脅されてたんだ」




そう言った門倉さんは、ほんの少しだけ口角を上げた。




「竹中くん、馬鹿だよね。市川さんのこと脅すなんてさ。しかも脅す内容って何だと思う?」

「……」

「橋谷先生との不倫のことだよ?みんな知ってるっつーの!」



ケラケラと門倉さんが笑っている。

寧々様の眉間のシワが深くなっていく。



「私、市川さんのこと、犯人だと思ってるんだよね」
と、門倉さん。

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