真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
第三話 順番
「おかしい……」
と、息吹ちゃんが呟く。
門倉さんが美術室に戻って。
私達は学校の最寄り駅のそばにある、クレープ屋さんに来ていた。
今日は私と息吹ちゃんで、寧々様にいつもお菓子やお茶をご馳走になっているお礼として、ふたりで寧々様におごっている。
「何が引っかかるの?」
と、バナナのチョコレート掛けクレープを頬張る寧々様が尋ねる。
「竹中先輩を市川さんが殺せるかな?」
「え?」
と、寧々様。
私も引っかかっていた。
寧々様に、息吹ちゃんの推理を話す。
暴れる人を女性の力で絞殺出来るのか。
しかもその殺害後、女性ひとりで死体を運べるのか。
「だから私達は、男性が犯人だと思ってたんだ」
寧々様は「ふぅーん」と言って、
「今、聞かなけりゃ良かった。クレープが、美味しくなくなる……」
と、眉毛を下げる。
確かに。
そう思って、それからは事件とは関係のない話をしてクレープを味わい、寧々様とは別れた。