真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「おぉ、鶏の唐揚げはテンション上がるねぇ。私はねー、チキンライスだっ」



お弁当のふたを開けて、ふたりでニコニコ笑う。



「ふたりとも鶏関係だ」
と、息吹ちゃん。



その時。



「……ん?」
と、息吹ちゃんが首を傾げる。



「どうしたの?」

「いやぁ、なんか、引っかかって……」

「何?」



息吹ちゃんは、
「ふたりとも市川さん関係なんだよね」
と、呟く。



「事件のこと?うん、そうだね?」



私はお箸と一緒に、お弁当袋に入っていたスプーンを取り出す。

くるくると透明のラップに巻かれているスプーンは、どこが巻き終わりなのかわかりにくい。



「何してるの?」
と、息吹ちゃん。



「うーん、ラップを巻いた順番がわかれば取り出せるんだけど」

「……えっ?」

「ほら、巻き終わり探さないと。取り出せないから」



私は説明しつつ、顔を上げる。

でも息吹ちゃんは、心ここにあらずの瞳で、私をぼんやり見ていた。

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