真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

第二話 依頼


駅のホーム。

周りの迷惑にならないように、私達はホームのすみにあるベンチの方に移動した。



「私、柴田さんと同じクラスの吉井 絵麻(よしい えま)です。えっと……」



吉井さんが私を見る。



「あ、私は三組の藤沢 彩葉っていいます。息吹ちゃんと同じ文芸部です」
と、自己紹介をする。



「文芸部!良かった」



吉井さんはなぜかホッとしている。



「吉井さん、あの、お願いって?」



息吹ちゃんが尋ねると、吉井さんは私達を交互に見つめてこう言った。






「お願い、時田さんがどうして亡くなったのか、文芸部の柴田さんに……、ううん、ふたりに探ってほしいの」






「えっ?」

「加瀬ちゃんが殺したなんて噂、絶対に嘘だと思う。あの子はそんなことしないし、出来ないと思うんだ」

「ちょっと、ちょっと待ってください」

「お願い、加瀬ちゃんの疑いを晴らせてほしい。それでみんなに知らせてほしいんだ。本当のことを」

< 17 / 195 >

この作品をシェア

pagetop