真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「橋谷先生のせいで、私は真夜中の果てにまで連れて行かれた。何の光も当たらない、暗くて、つらい場所。そんなのって許せない」
「だから殺したんですか?」
息吹ちゃんの眉間にもシワが寄っている。
「当たり前じゃん!私は、芸能界に復帰して、またキラキラと輝くの!!ひなたの道を歩くの!!決して真夜中の道じゃない!!」
「……」
「それを邪魔するなんて、馬鹿げている。そんなことで真夜中の果てに連れて行かれるなんて、まっぴらごめんだから!!」
市川さんは通学鞄に手をつっこんだ。
そこから取り出したのは。
「彩葉ちゃん!!下がって!!」
包丁だ!!
市川さんはつかつかと私に近寄ってくる。
私は逃げようとしたけれど、市川さんは走って追いかけてきて、私を捕まえた。
「あんた、柴田っていったっけ?」
と、息吹ちゃんに話しかける市川さん。
私ののどに包丁の刃を当てている。