真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

「この子がどうなるか、その空想でわかる?」



「やめて!」
と、息吹ちゃん。



「あんた達は、また私を真夜中の果てに連れて行こうとしている。そんなの、許せない。私には、ひなたの道が用意されているのに。真夜中じゃない、ひなたの道が!!」

「……市川さん、そんなことをしても罪を重ねるだけですっ」



息吹ちゃんの声が震えている。



「お願いだから、彩葉ちゃんを傷つけないで!」



(息吹ちゃん……)



「じゃあ、約束してくれる?もうこの件から手を引くこと。私とは関わらないこと」

「……私が手を引いたところで状況は変わらない。警察だって動いているんだから」
と、息吹ちゃん。



「は?」
と、市川さんは苛立つ。



「あなたはわかっていない」
と、息吹ちゃんは涙を見せた。



「何?わかっていないのはあんたじゃん。友達が死ぬよ?」



そう言って、ぐっと刃がのどに食い込むように近くなる。



「あなたが芸能界に復帰しようがしまいが、私には関係ない。そもそも復帰したいなら、私ならそんなスキャンダルになるようなことは避けた」

「はぁ?」

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