真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「橋谷先生と不適切な関係になる前に、考えられたはず。冷静な心で、それが正しいのか、後ろ指差されることなのか。橋谷先生だって、そう。それを隠すために殺人を犯すなんて、私には理解出来ない」
「あんたは、人を好きになったことなんてないんじゃない?」
「……あなたは、本当に好きだったんですか?」
息吹ちゃんの質問に、市川さんの包丁を持つ手が震え始めた。
「自分を守るために、その人を殺すなんて。それが本当の恋だなんて、私には思えない」
「黙れよぉぉぉおおぉっ!!」
市川さんが絶叫した。
その時。
「武器を捨てろ!!」
と、声がした。
教室に、ぞろぞろと大人達が入って来る。
「!?」
あっという間に私と市川さんを、警察官であろう大人達が取り囲む。
「あんた!!」
と、市川さんは息吹ちゃんを睨んだ。
「……警察に連絡していたんです」
「ふざけんな!!何してくれてんの!!」
「私は、取るべき行動を取っただけです!彩葉ちゃんを返して!!」