真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
市川さんは包丁を乱暴な手つきで振り回して、
「来るな!!来ないで!!」
と、叫んでいたけれど。
あっという間に、警察官に取り押さえられた。
「恨むからっ!!あんたのこと、一生!!!」
市川さんは泣き叫んで、息吹ちゃんを睨んだ。
息吹ちゃんはつらそうに、でもまっすぐ市川さんを見つめている。
「市川さん、息吹ちゃんを恨まないで」
と、私は言った。
「は?何だよ!!お前も恨むからな!!いつか、いつか、ふたりまとめて殺してやる!!!」
「市川さんが恨むべきは私達じゃない!」
私は思いの外、大きな声を出してしまった。
「真夜中にいても、その果てにいても、あなたは正当な方法でひなたに行くべきだった!!そうしなかった市川さん自身を恨んでよっ!!後悔と、反省をするべきだよ!!」
「……許さない」
市川さんはそう呟きながら、警察官の人に連れて行かれた。
「許さない、許さない……!!」
市川さんの呪いの言葉が。
ずっと廊下から響いていた。