真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
第五話 事件帳
そして。
あれから年月が過ぎ。
私達は27歳になっていた。
「寧々様!!」
県で一番大きなショッピングモールの入り口に向かって、私と息吹ちゃんは手を振った。
「久しぶり〜!!」
と、寧々様も手を振り返してくれる。
「ごめんね、待たせたみたいだ」
と、息吹ちゃん。
「中で待っててくれて良かったのに」
「いいの、気を遣わないでよ」
と笑った寧々様は、お腹に手を当てている。
「赤ちゃん、性別わかったの?」
尋ねてみると、
「いやぁ、サプライズにしようって先生がさー」
と、寧々様がため息を吐く。
「旦那さんのことを、『先生』って呼んでるの?」
息吹ちゃんが目を丸くする。
寧々様はケラケラ笑って、
「だって!林堂先生は、林堂先生だもん。急に下の名前でとか、呼べないよ」
と、言った。
「まさかなぁ、寧々様が林堂先生と結婚するとはなぁ」
「大学卒業後、赴任先の高校で林堂先生と再会するなんて、漫画みたい」
私達がうっとりと話していると、寧々様はまた楽しそうに笑った。