真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
吉井さんの目から涙があふれ出してきた。
「今更だってわかってるけど、でも、加瀬ちゃんの力になりたい」
泣き出した吉井さんに息吹ちゃんは尋ねる。
「私達に頼むのはどうしてなんですか?」
確かに、と思った。
力になりたいなら、自分で真相を突きとめればいいのに。
「え?だって」
と、吉井さんは言った。
何を当たり前のことを聞くんだ、という表情で。
「だって文芸部でしょ?」
「え?」
「いや、文芸部なら小説いっぱい読むじゃん?ミステリーだって読むでしょう?」
「……」
私達は黙ってしまう。
「私は推理とか、調査とかよくわかんないから。でも文芸部ならそういうの、よく読んでるんだから動き方がわかるかなって」
「あの……」
と、私は口を挟もうとした。
あの、私達は小説を読むことが苦手だし。
ミステリーとかもほとんど読まないし。
っていうか、読んでいたとしても、実際に推理や調査が出来るとは限らないし……。