真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「彩葉ちゃんは?亮介兄ちゃんとどうなの?」
「え、私?うーん、時々ごはんに連れて行ってくれるけど……、特に恋人というポジションにはなれず」
「あいつ……、今度一回シメる」
「息吹ちゃん、物騒だから」
ふたりでケラケラ笑っていると、寧々様が大きなため息を吐く。
「あんた達って……」
「えっ?何?」
「……事件帳抱えて、校内をウロウロしてた時と全然変わらないなって思ったの!」
三人でわはははっと笑ってしまった。
ショッピングモールの中で、人気のイタリアンレストランに入る。
席に着いた寧々様が、
「で?ゆみちゃんの結婚祝い、どうする?」
と、切り出した。
「食べたらお店、見て回ろうよ。ペアもので可愛いの、何かないかな?」
「マグカップとか?写真立てとかでも良くない?」
息吹ちゃんが感慨深いという感じで、
「まさかねー、あの陸上部の部長と別れるとはね」
と、呟いた。
「ゆみちゃんにも色々あるんだよ。年下だっけ?旦那さん」
「うん。確か、職場の後輩と結婚するんじゃなかった?」
話しつつ、私達はメニューに目を落とす。