真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「えーっ、なんで!?」
「だって、私達としても持っていても仕方ない物だし」
と、私。
息吹ちゃんも、
「あれを読み返すことはもう、ないのかもなって思って」
と、答えている。
「あんなに一生懸命に頑張って集めた情報なのに」
と、寧々様は残念そう。
「いいんだよ、あれは埋めたままで」
と、私は言う。
「事件のことは明らかになった。あの当時、ニュースでもすごく報道されてたじゃない?」
「うん、まぁ、確かにそうだけど」
「だから、私達のあの事件帳はもう、用済みなんだよ」
息吹ちゃんが私の言葉に頷き、こう言った。
「あの事件帳を二度と開かないように、平和な毎日が送れることを祈って埋めたの。ふたりで」
「そうかぁ」
と、寧々様は頷いた。
それから、
「知らない間に、あんた達も大人になってたんだね」
と、まじまじと見つめてくる。
「えー?」
と、私と息吹ちゃんの声が揃った。