真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
水元くんは、
「そっか、堀川って時田 千世と同中だっけ?」
と、悲しそうな顔をする。
「職員室の前を通ったらさ、先生達が話してた。……搬送先の病院で、死亡が確認されたって……」
私はその時、自分の鼓動で胸が痛いと感じた。
「そんな……、嘘っ」
堀川さんの目から大粒の涙がこぼれる。
もらい泣きしている人もいた。
私が時田さんについて知っていることは、かなり少ない。
女子トイレですれ違うこともあったけれど、鏡の前で一生懸命にヘアスタイルを整えている人だった。
派手で、少し威圧感のある話し方。
……それくらいだった。
(でも、なんで?)
どうして裏庭で倒れていたんだろう?
何かの病気?
何かの事故?
廊下ですれ違った時田 千世さんを思い出す。
(……昨日まで元気そうにしていたのに)
「席に着いて」
と、教室に入って来たのは、クラス担任の橋谷 有馬先生だった。