真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

だけど、そんなことを言う前に、息吹ちゃんに止められた。

私の手を取り、黙って首を振る息吹ちゃん。



「お願い。解決したら文芸部の冊子にこのこと書いて広めてほしい」

「えっと……」

「図書室に置いてあるんでしょ、冊子。読んだことはないけれどさ。毎月、文芸部の人が書いたものをまとめたやつ」

「はぁ、読んだことはない……」
と、残念そうな息吹ちゃん。



文芸部の冊子は。

毎月課題として出される短編小説を読んで、その感想文をまとめたものだ。

文芸部唯一の発表の場であり、何度も言うけれど、唯一のまともな部活動だ。



「私、知ってるよ。文芸部って存続危ういんでしょ?」



吉井さんは涙を拭きつつ、息吹ちゃんを見た。



「動いてくれたらお礼に、文芸部員が増えるように協力する」



息吹ちゃんのつぶらな目が、途端に輝きだす。



「えっ!!」

< 20 / 195 >

この作品をシェア

pagetop