真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
だけど、そんなことを言う前に、息吹ちゃんに止められた。
私の手を取り、黙って首を振る息吹ちゃん。
「お願い。解決したら文芸部の冊子にこのこと書いて広めてほしい」
「えっと……」
「図書室に置いてあるんでしょ、冊子。読んだことはないけれどさ。毎月、文芸部の人が書いたものをまとめたやつ」
「はぁ、読んだことはない……」
と、残念そうな息吹ちゃん。
文芸部の冊子は。
毎月課題として出される短編小説を読んで、その感想文をまとめたものだ。
文芸部唯一の発表の場であり、何度も言うけれど、唯一のまともな部活動だ。
「私、知ってるよ。文芸部って存続危ういんでしょ?」
吉井さんは涙を拭きつつ、息吹ちゃんを見た。
「動いてくれたらお礼に、文芸部員が増えるように協力する」
息吹ちゃんのつぶらな目が、途端に輝きだす。
「えっ!!」