真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「えっ、息吹ちゃんって推理とか得意な人?」
「まさかっ!推理なんてしたことないよ。ミステリー小説も読んだことないに等しいし。でもさ……」
息吹ちゃんはホームにやって来た電車に乗って、ドアの前に立つ。
「でもさ、違和感を感じることってあるよね」
息吹ちゃんが何を考えているのか、私にはわからなかった。
電車で自宅の最寄り駅まで帰って来た。
そこからまた二十分程、息吹ちゃんと歩く。
「しばらく休校になるかもね」
と、息吹ちゃん。
「え?何で?」
「保護者への説明とか、今後の対応とか、警察との連携とか、学校側にも色々とあるんじゃん?」
「あ、そっか」
「今日はそこまでの説明って無かったけど」
「うん」
川沿いの道を歩きつつ、私は息吹ちゃんをチラッと見た。
「加瀬さん、いじめられてたんだね」
「うん」
息吹ちゃんの声が落ち込んでいる。
「吉井さんだけじゃないよ。みんな、自分に火の粉が降りかからないように、細心の注意を払ってた。……私だって、そうだよ」
「……うん」