真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「当たり前なんかじゃないよ。彩葉ちゃんの存在は、私にとって光だった」
私は黙って隣を歩く息吹ちゃんの手を握った。
「加瀬さんの気持ち、私にはわかるはずなのに。私は、見て見ぬフリなんかして……、最低だ」
息吹ちゃんの目から大粒の涙がこぼれる。
小さな体が震えているのを見たら。
胸が締めつけられそうだった。
(あぁ、そうか)
息吹ちゃんにとって、文芸部への見返りよりも。
加瀬さんのために行動を起こすこと。
それこそが。
吉井さんの依頼を引き受けた、最大の理由なんだ。
それから。
息吹ちゃんの言う通り。
しばらくの間、休校になった。
休校中の、平日の朝。
部屋で少女漫画雑誌をパラパラめくっていると。
息吹ちゃんからメッセージが来た。
《集合!部屋にて待つ!》
私は《了解!》と返し、そのまま歩いて五分の息吹ちゃんの家まで行く。