真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「えっ?私?」
「彩葉ちゃんはオレの味方ですー、そんなわからずやの言うことなんか、彩葉ちゃんは聞きませーん」
「何を!?私達には幼馴染みの絆があるんだもん!彩葉ちゃんは常に私の味方ですぅー」
(これは放っておいて大丈夫な喧嘩だな)
私はふたりを無視して、息吹ちゃんの部屋にある漫画を物色し始めた。
「だいたい死因なんか知ってどうするんだよ」
「死因がわかれば……、時田さんがどうして亡くなったのかがわかれば、加瀬さんのためにどう動けばいいのかわかるもん」
息吹ちゃんに亮介兄ちゃんはため息を吐きながら、
「バカだな、それじゃダメだよ」
と、ハッキリ言った。
「え?どうして?」
と、私も本棚から顔を上げる。
「調べるんだろ?どんな可能性のことも考えて動かないと」
「……可能性?」
「そう。例えば、その加瀬さんが犯人だっていう可能性」
「……」
息吹ちゃんはじっとして、何かを考えているみたいに見えた。
「どんな可能性だって考えて行動しなくちゃ。助けたいのはわかるけどさ、冷静に判断しなよ」