真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
息吹ちゃんは物差しを自分の学習机の上に置いた。
「だって、助けたいんだもん」
亮介兄ちゃんは、「わかるけど」と言ってから、
「広い視野で行動しな。そうしないと本当のことなんてわかんないぞ。可能性を考えては、ひとつずつ潰していくだ」
と立ち上がり、息吹ちゃんの頭を撫でた。
「地道な作業だね」
と、息吹ちゃん。
「何にも知らないし、知っていたとしても教えないけど……、守秘義務があるしね。まぁ、頑張れよ。あっ、でも危ない目に遭わないように注意するんだぞ」
私と息吹ちゃんは頷く。
「よし、じゃあ、今日のおやつは皆でチーズケーキを食べよう」
「まだ朝だけど」
息吹ちゃんと亮介兄ちゃんは、笑いながら部屋を出て行く。
私も後からついて行って、かなり早いおやつを食べた。
亮介兄ちゃんが「こっち食べなよ」と、大きいほうのチーズケーキを渡してくれて、胸がドキドキしたけれど。
ケーキを食べたら亮介兄ちゃんはすぐに帰ってしまって、残念だった。