真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
(久しぶりに会えたのになぁ)
息吹ちゃん家の玄関で。
遠ざかる亮介兄ちゃんの背中を見ていたら。
「また会えるって」
と、息吹ちゃんが言った。
「うん」
「もしまた来たら、絶対に彩葉ちゃんを呼ぶから安心してね」
そう言って息吹ちゃんは笑う。
「ねぇ、息吹ちゃん」
と、私は階段をあがりつつ、息吹ちゃんに声をかける。
「加瀬さんのこと、信じたいね」
息吹ちゃんは私を振り返ることなく、
「うん。信じたい」
と、呟いた。