真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「先生、千世……、六組の時田さんが亡くなったって本当ですか!?」
堀川さんが泣きながら尋ねても、橋谷先生は黙って俯き、
「……今日はこのまま、下校することになりました。授業はしない。全校生徒、一斉に下校だから」
と、抑揚のない声で言う。
「先生!答えてください!!」
「堀川さん、少し落ち着きなさい」
「だって……、信じられないんだもん……!」
堀川さんは机に突っ伏して大声で泣き出した。
「とにかく、下校だから。全員帰り支度して準備が整い次第、教室を出るように」
橋谷先生は逃げるように職員室へ帰って行った。
「何あれ!」
と、堀川さんが悔しそうに橋谷先生の背中を睨む。
そんな堀川さんに、
「泣きすぎじゃない?」
と言ったのは、クラスで一匹狼の市川 櫻子さんだった。
「は?放っておいてよ」
「そうしたいけど、あんたうるさいんだよ」