真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

体育館がざわめく。



(北校舎?)
と、私は思った。



裏庭に立ち入り禁止ならわかるけれど、そのそばに建つ北校舎が立ち入り禁止?



(なんで?)



「静かにしなさい」
と、岡村先生がピシャリと叱っていた。







「結局、全校集会って言ってもさ、何の説明もなかったよね」



放課後。

東校舎の一階。

文芸部の部室で、息吹ちゃんはため息を吐いた。



「息吹がため息なんて珍しいじゃん」
と言ったのは、私達と同じ文芸部で二年一組の児玉 寧々(こだま ねね)こと、寧々様だった。

寧々様は部室に持ち込んだ私物のティーセットで、紅茶を淹れている。



「寧々様ー、どう思った?全校集会」
と、息吹ちゃん。



「どうもこうもないよ。意味のない集会って感じ。言われなくてもわかっていることをダラダラダラダラ……」

「寧々様、眉間にシワが」

「あっ、いけない」



寧々様は眉間を伸ばしつつ、
「でもその後のアンケート調査がねぇ」
と、残念な顔つきになる。

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