真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
第四話 第一発見者
ソフトボール部が片付けを始めて、息吹ちゃんは時計広場から校庭を見つつ、話しかけられそうな人を探していた。
みんな片付けに忙しそうで、とてものんびり話せるような雰囲気じゃない。
「彩葉ちゃん、あの人は?」
と、息吹ちゃんがある人を見つめた。
見てみると、ボールがたくさん入った箱を重たそうに両手で抱えて、時計広場にやって来る大きな体格の女の子がいる。
「あの、すみません」
と、息吹ちゃんが声をかけた。
「はい?」
「私達は文芸部の二年生です。少しお話出来ますか?」
彼女は「文芸部?」と呟き、あからさまに嫌な顔をした。
「あの、急用ですか?これ、片付けないと、先輩達に怒られるんです」
「あ、ごめんなさい」
息吹ちゃんが謝ると、彼女はため息を吐いた。
その態度に、私達ふたりはかすかな恐怖心が芽生えた。
「彩葉ちゃん……」
と、息吹ちゃんが首を振った。
私も頷き、
「あの、すみませんでした」
と、引き下がろうとした時。
「あの、何か用ですか?」
と、近寄って来る人がいた。