真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
待ち合わせ時間の少し前に、矢戸田さんは誰かを連れて現れた。
「ごめんね、お待たせしました」
私達は立ち上がり、
「来てくれてありがとうございます」
と、頭を下げる。
「そんな改まらないで、気楽に話そうよ」
矢戸田さんは言い、
「彼女は二年五組の立川 慶子さん。私と同じ女子ソフトボール部。この後、立川と用事があるから一緒に来てもらったんだけど、いいよね?」
と、立川さんを紹介してくれた。
立川さんに私達は自己紹介して、
「あの、お聞きしたいことは、さっきも言ったように人を探しているんです」
と、息吹ちゃんが切り出した。
「文芸部に依頼があって、私達は時田さんのことを調べています」
「えっ?」
と、怪訝な顔をしたのは立川さんだった。
息吹ちゃんは構わず続ける。
「女子ソフトボール部の人の誰かが、時田さんが倒れているのを見つけたって聞いているんです。私達はその人に会いたいんですけれど、その人に話が聞けるように協力していただけませんか?」