真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
(えっ……!?)
私は思わず聴覚に神経を集中させる。
「殺された!?」
「しっ!噂だから!ただの!!」
「でも、なんで!?誰に!?」
尋ねられて、前の男子は困ったように首を傾げる。
(……た、大変だ)
私は素早く荷物をまとめて、教室を出る。
廊下を真っ直ぐ進んで、六組の教室を目指した。
六組の前まで来ると、
「あんたなんでしょう!?」
と、廊下まで響く大声が聞こえる。
「!?」
驚いて慌てつつ、でも目立たないように、そっと六組の教室の中を見た。
廊下側の列、前から二つ目の席。
私の幼馴染みで親友の、柴田 息吹ちゃんが、私に気づいた。
手のひらを見せたジェスチャーで、【ちょっと待ってて】と言われたことがわかる。
「何とか言えよ!!あんたしかいないじゃん!!千世を殺した奴!!」
叫んでいるのは、時田さんとよく一緒にいた増岡さんだった。
増岡さんの他に時田さんのグループのメンバーが、親の仇を見るようなきつい目で、ひとりの女子を睨んでいた。