真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「時田さんを発見した時のこと、順を追って教えてもらえませんか?」
立川さんが「少し長くなるよ」と前置きをして、話し出した。
「あの日、ソフトボール部は六時前から朝練があったの。ミーティングが終わったらみんな学校の周りを走る、外周って呼んでるランニングトレーニングに出たんだけど」
私は『ソフトボール部は六時前から練習』と書き込む。
「私と矢戸田は学校に残って、グラウンド練習の準備をする当番だったの。でも、もう慣れているから早く終わって。時計広場でふたり、話したりしつつ外周からみんなが帰って来るのを待ってた」
「はい」
「六時になったね、って話してたのを覚えてて。それからも少し話してたと思う。ドンって鈍い音が聞こえたんだ」
矢戸田さんが頷く。
立川さんは続ける。
「大きな音だった。何かあったんじゃない?って不安になって、音が聞こえた方向に矢戸田と行ったの」