真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
寧々様は俯いて、
「三年生の先輩がひとり、失踪したって」
と、呟いた。
「えっ!?」
「竹中 理先輩って知ってる?三年生の美術部の人でさ、ちょっと派手な感じの……」
私も息吹ちゃんも首を振る。
その時寧々様が、
「顔を見たら知ってるかもよ。目立つ人だから」
と言ったから、竹中先輩はきっとイケメンなんだな、と思った。
「失踪って、いつから?」
息吹ちゃんが尋ねる。
「その子が言うには、時田さんの事件のあとの休校が明けて少し経った頃だって」
「えっ、わりと時間が経ってない?」
「そうなの。竹中先輩ってね、結構フラフラとしていたらしくて、家に帰らない日もあったんだって。だからお家の人も気づくのが遅かったみたい」
「……そうなんだ、心配だね」
息吹ちゃんは返事しつつ、何かを考え始めているみたいだった。
寧々様と別れて。
電車に乗って地元の駅まで帰って来た。
「彩葉ちゃん、どう思う?」
「ん?」