真夜中の果て  ー文芸部コンビの事件帳ー

寧々様は俯いて、
「三年生の先輩がひとり、失踪したって」
と、呟いた。



「えっ!?」



竹中 理(たけなか おさむ)先輩って知ってる?三年生の美術部の人でさ、ちょっと派手な感じの……」



私も息吹ちゃんも首を振る。

その時寧々様が、
「顔を見たら知ってるかもよ。目立つ人だから」
と言ったから、竹中先輩はきっとイケメンなんだな、と思った。



「失踪って、いつから?」



息吹ちゃんが尋ねる。



「その子が言うには、時田さんの事件のあとの休校が明けて少し経った頃だって」

「えっ、わりと時間が経ってない?」

「そうなの。竹中先輩ってね、結構フラフラとしていたらしくて、家に帰らない日もあったんだって。だからお家の人も気づくのが遅かったみたい」

「……そうなんだ、心配だね」



息吹ちゃんは返事しつつ、何かを考え始めているみたいだった。







寧々様と別れて。

電車に乗って地元の駅まで帰って来た。



「彩葉ちゃん、どう思う?」

「ん?」

< 88 / 195 >

この作品をシェア

pagetop