真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「息吹ちゃん、陸上部だ」
「えっ?」
時田さんの事件の時、陸上部は中庭でミーティングをしていた。
そうだ。
岸くんが言っていたじゃない。
矢戸田さんと立川さんが、倒れている時田さんを見つけた時に悲鳴をあげて、それを岸くんは本校舎で聞いている。
その時。
岸くんは中庭に出て、陸上部の顧問の水川先生と何人かの陸上部の部員と、話している。
息吹ちゃんがメモ帳に視線をおとした。
そこには、こう書いてある。
《水川先生と陸上部の数人、岸くんと二度目の悲鳴を聞いている》
「陸上部に話を聞きに行けば、もしかして……」
「彩葉ちゃん、すごい!!」
息吹ちゃんは言って、
「悲鳴を聞く前から中庭にいたのなら、犯人が鍵を持って行くところも見ているかも」
と、興奮気味に顔を紅潮させる。
私達は放課後、陸上部に話を聞きに行く約束をした。
そして、やってきた放課後。
私達は本校舎と校庭の間にある、裏門へ続く道でじっと校庭を見ていた。