真夜中の果て ー文芸部コンビの事件帳ー
「何それ」と寧々様は言って、
「加瀬さん、孤独じゃない」
と、悲しそうな顔をした。
「……うん」
と、息吹ちゃん。
「加瀬さんに関わったら、今度は自分が殺されるって……」
「は?ひどすぎる」
「寧々様が言ってたでしょう?早くしないと、加瀬さんが噂に潰されるよって」
寧々様は頷く。
息吹ちゃんの表情が暗くなった。
「どうしよう、もし、そうなっちゃったら。助けてあげたいけれど、間に合わなかったら、加瀬さんはどうなるんだろう?」
息吹ちゃんの声が震えているように聞こえた。
私と寧々様は顔を見合わす。
こんな息吹ちゃんは、初めて見た。
「息吹ちゃん、焦っても仕方ないよ」
と、私は声をかけた。
「焦ったせいで、真実が見つけられなかったら、そのほうが悔しいし悲しい」
「……うん、でも」
「息吹が押し潰されたら元も子もないよ。……私が余計なこと言って、ごめんね。焦らすようなこと言った」
息吹ちゃんはうつむいて、首を振った。