【短】みやまの花嫁
「2人で食べるって言うと、焼き鳥かからあげか、フライドポテトだな。かき氷は外せねーし、ラムネも外せねーけど、2人分だと400円!?」
「……」
“屋台”と呼んでいたものを前に、男の子は「くぅ~っ!」と眉根を寄せて目を瞑る。
どこか、痛いのかな。
大丈夫、と手を伸ばそうとした時、男の子はわたしを見て口を大きく開いた。
「なぁ、お前、焼き鳥とからあげ、どっちがいい!?」
「……焼き鳥?」
「よし、それじゃあ焼き鳥で300円として…………かき氷とラムネ、スーパーボールすくいで900円だ!」
「……」
男の子が言う言葉は、耳馴染みがなくてよく分からない。
だからじっと眺めていると、「おじちゃん!」と屋台にいる人に声をかけた。
「お、来たな」
「焼き鳥1個ちょうだい!」