【短】みやまの花嫁
山の中と、かき氷
スーパーボールすくいを楽しんだ後、透明な巾着を持って屋台を離れると、永悟が瓶を差し出す。
「ほら、ラムネ」
「……ありがとう」
こぼしてしまった、わたしのラムネ。
まだ中身が残っている永悟の瓶から、大事に1口分を飲むと、しゅわしゅわを味わって瓶を返した。
永悟は瓶を見て、残りのラムネを飲み干す。
どき、どき。
なんでだろう。
口をつけるところをじっと見ているのは、なんだか恥ずかしいような気がして、そっと目を逸らした。
「空になったし、ラムネのびん、おばちゃんのとこにすてに行くかー」
「……すてちゃうの?」
「だってじゃまだろ? あ、ビー玉はおばちゃんとこで取ってもらえるぜ?」
「びーだま……? きれいだから、このびん、持って帰りたい……」