【短】みやまの花嫁
奉納の舞
将来の夢。
自分で選ぶもの。
それが分からないまま、かき氷を黙々と食べていると、器の中が空っぽになった。
「なくなっちゃった……」
「美味かったなー! なぁなぁ、べろ、べって出してみて!」
「べろ……?」
永悟はさっきの話がなかったかのように、にんまりとした笑顔で詰め寄ってくる。
困惑しながら、舌先を少し口の外に出すと、「もっと思い切りよく!」と言われてしまった。
舌を出して見せるなんて恥ずかしい……。
永悟のきらきらした瞳に見つめられ、仕方なく左手で隠しながら舌を出すと、手を取られてしまった。
永悟の顔が間近に近付いてきて、心臓がばくっと跳ねる。
「んー、いちごだから分かりづらいな」
「な、何するの……っ」