【短】みやまの花嫁
頬がじゅわりと熱くなるのを感じながら、右手で口元を隠して身を引いた。
永悟はきょとんと、丸い目で瞬きをする。
「ほっぺがモモみてー」
「……っ」
「何って、これだよこれ、べー!」
一転して、悪戯な笑みを浮かべた永悟は、勢いよく舌を出した。
本来は赤いはずの、その舌の真ん中が青く染まっていて、ぱち、ぱちと瞬きをする。
……妖怪?
「青い……」
「だろ! かき氷食べるとこうなるんだ~」
「そう、なの……?」
「おう! 弥世のべろもきっと赤くなってるぜ」
そういうこと、だったんだ……。
……びっくりした。
ふっと肩の力を抜くと、しゃん、と鈴の音が聞こえた。
永悟はばっと拝殿の方を振り返る。