【短】みやまの花嫁
「へぇ……確かに、あのみこさんがどこに住んでるのか、知らないや」
緩やかに動き続けるお姉さんの舞は、神様に捧げる為のもの。
そして、わたしの為でもある。
「お祭りの最後はあのまいを見るって、ちっちゃいころから決まってるからさ。楽しい時間はもう終わりかーって、なんかさみしくなる」
「さみしい……?」
「うん。……いつもとちがうから、しんせんだけど、やっぱり動きがゆっくりすぎて、たいくつだよな」
「そう、かな……」
神様に捧げる舞だもの、わたしはいくらでも見ていられる。
でも、なんだか胸がもやもやする……かも。
人だかりの隅で、神楽笛を聴きながら舞台の上のお姉さんを見上げて、しばらく舞を眺める。
時折吹く風に涼しさを感じていると、永悟が口を開いた。