【短】みやまの花嫁


「このまいってさ、いつも20(はち)時45分に始まんの。おれ、21()時には帰ってこいって言われてるから、もうすぐ帰らなきゃいけないんだ」


「そう、なんだ……明日のお祭りで、また会える?」


「……」




黙り込んだ永悟を、珍しいと思う。

お姉さんから目を離して、隣の永悟を見ると、顔を俯けていた。




「おれ、さ……明日、引っこすんだ」


「……! いなく、なっちゃうの?」


「……うん。学校の案内とか、してやりたかったけど……」




がっこう……?




「でも、おれの友達とか、女子達がよくしてくれると思う。それに、全く話ができないってわけじゃねーし」


「でも、いなくなっちゃうんでしょう……?」
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