【短】みやまの花嫁


永悟が、明日にはいなくなる。

そう思うと、何故だか胸にぽっかりと穴が開いたような気分になった。

明日は、どうやってお祭りを回ればいいのか……分からない。


何をやっても、隣に燦燦と輝く笑顔がなければ、楽しくない気がする。




「だいじょうぶだって、電話もメッセージもできるじゃん! ほら、連らく先こうかんしようぜ?」


「れんらくさき……?」


「スマホ、持ってるだろ?」


「すまほ……」




永悟が変わった服の中から取り出したのは、長方形の板。

首を傾げて見つめると、ぱっと眩しくなって、絵が浮かんだ。




「ん……なぁに、それ?」


「え? まさかスマホも知らないのか? じゃあ、家の電話は?」


「でんわ……?」


「遠くにいても話せる機械だよ! じいちゃんばあちゃんの家にだってあるぜ?」
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