【短】みやまの花嫁
「ある、よ……」




声が震える。

だってわたしは、そういう運命で。

神様のお嫁さんになる為に、生きてきて。


だって、だって、ようやく初潮も……っ。




「絶対うそだ! お前、最初笑ってなかったじゃん! およめさんになりたいって、笑って言ってないじゃん!」


「……っ」


「今日お祭り回った時の方が絶対楽しかっただろ! 今までずっと、たいくつだったんだろ!」


「そんな、こと……っ」




楽しかった。

楽しかった、けれど。

今までだって、お嫁さんになる日を楽しみにしてきて。


退屈、なんかじゃ……。




「弥世」


「……っ、お姉、さん……」


「!」




いつの間に舞が終わったのか、衣装をそのままに、お姉さんがわたしの前に立っていた。

外に出たいと言った時のように、厳しい目をして。
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