【短】みやまの花嫁
「う……」


「かっこいいところを見せたいって思ったり? 他の男のお嫁さんになるのが許せなかったり?」


「ぐ……」




お……おれって、弥世のことが好きなのか……?

恋愛なんてくだらねーと思ってたのに……。




「男は素直に認める! さぁ、どうなんだ?」


「……わ、分かったよ! おれは弥世が好きだ、悪いか!」




スーパーボールすくいをした時の、あの笑顔が頭に浮かんで、“違う”とは言えなかった。

だって、それまで無表情だったやつが、目を輝かせて楽しそうに笑ったんだ。

開き切ってない二重の瞳をぱっちりと開いて、唇の端をキュッと上げて、目尻を下げて。


下手な笑顔じゃない、本物の笑顔を浮かべたんだ。

あんなの見たら、誰だってもっと笑わせてやりたいと思うし、でも、他のやつに見せるのはもったいないって思うだろ。
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