【短】みやまの花嫁
眉毛は三日月みたいだし、鼻の先はちょっと丸くなってる。

二重の瞳は開き切ってなくて、視線が合ってるのに合ってないみたいな、変わった雰囲気だ。

透き通りそうな白い肌とは対照的に色づいた、桃の花みたいな唇はキュッと閉じられたまま。




「なぁ、何してんのって」


「……お祭り、見てる」


「はぁ? ……お前、他所から来たのか?」


「……」




視線が落ちて、黙り込む。

……変なやつだな。

お祭りって言ったらテンションが上がるものなのに、なんで元気がないんだ?




「あー……なぁ、ここの、深山祭りのうわさ、知ってるか?」




楽しい場所には似合わない顔つきにムズムズして、兄ちゃんの話を引っ張り出す。

変な女子は表情を変えないまま、少し首を傾げるようにした。
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